亡國の孤城 『心の色』(外伝)















リネットの御付きの召使は、とにかく最初から全ての事情を知っていたらしい。

今日の彼が見せた不可解な態度も、彼女の知る所だった。






















「アベル様はああ見えて、とても恥ずかしがりやなのですよ?すぐムキになってあの様な汚い言葉を言ってしまいますけれど…」













その日の就寝前。

明るい月夜の下、ベッドで上体を起こしたまま、召使の彼女に髪を梳かれながらリネットは黙って聞いていた。


アベルに散々口止めされていたらしいが、王族の権力を使えばそんな口止めなど無いに等しい。
職権乱用だろうが何だろうが、構わない。
洗いざらい話しなさい、という目茶苦茶強引なリネットの命令により、アベルの必死の口止めも崩壊した。



召使も召使で言いたくてうずうずしていたのか何なのか、堰をきった様にそれはもうペラペラと話してくれた。




彼女に罪悪感は全く無さそうだ。






















「………いつもあの様に無愛想ですけれど………以前はもっと酷かったらしいですよ。誰とも口を利かないし、反抗ばかりしていて……かなりの問題児だったとか」

「今だって問題児だわ」

「………ですが、姫様とお会いして、チェスの賭け事をする様になってからは………本当に代わられました。………嫌々ながらも勉学に励んで、投げ出していた習い事をまた始めて………返事も出さずに溜まりに溜まっていた縁談も、一切合切、丁寧に断られたそうです」