………。
「―――………………………………アベ」
「うるせぇギロチン女!!」
ちょっと声を掛けようとした途端、アベルはいつもの乱暴な口調で振り返ってきた。
だが、振り返った見慣れている筈の彼の顔は………………何故か、真っ赤に紅潮していた。
元から青白かった肌が、驚く程鮮やかに……耳まで真っ赤に………。
「………………よく分からないわ。どうしてそんなしょうもない事をわざわざ……」
「………黙れって言ってんだろうが!!………どうでもいいだろ!!悪いかよ…!!」
「悪いとは言ってないわ」
「………てめぇっ………………………っ………知りたかっただけだ!!もう喋るな!!………………帰る…!!」
紅潮した顔を隠す様にバッと顔を背け、落ち着かない様子でアベルは部屋を勢いよく出て行った。
力の限り押し返された扉はその反動で上手く閉じる事が出来ず、跳ね返って小さな隙間を開けた。
その隙間から、足早に階段を駆け降りて行く彼の姿がちらりと見えた。
「………」
ぽつん、と独り残されたリネット。
口元を隠していた扇子を閉じ、黒のキングを指先で弄りながら……小首を傾げた。
眉間に手を添えて、これまでの彼との交流を振り返る。
……何かの間違いじゃないかしら?
だって彼はあんなに乱暴で、無礼で、嫌味しか言わなくて………………私が気に食わないと言っていて。
………。


