教室内に入って、いつも通りうるさいジジイ。
そろそろ諦めたらどーなんだよ…。
「もういい、座れとっとと!」
3人の定位置に足を進めー…ん?

俺の席…変わってないよな?
窓際の1番後ろ。
俺の席がない。

代わりに、髪の長い女が座ってる。
机には高そうなスクバが掛けてあり、突っ伏して寝ているらしい女。
長い髪が窓から吹く風によって靡く。
綺麗に輝く髪が、俺の視界で乱れる。

「おい、駿河とっとと座れよ」
ジジイが言うが、座りたくても座れねぇんだよ。
「おい、起きろ」

俺は上から見下ろして低い声で女に声を掛ける。

女はビクともしねぇ。
おいおい、おれもなめられたもんだなぁ…。

「れーんと、どうしたんだよ。お前が座んねぇなんて何事だ?」
恭が俺の肩に手を乗せ席を見た。
「おい…なんだコイツ?!」
「耳元でうるせーよ」
眉間に皺を寄せ手を払いのける。

「女か?お前の女か??って特定の女つくんねぇよな、お前はっ!」
だからうるせー。

「その子、転入生だって。」
俺等の前、つまり女より後ろから俺等に話し掛けて来た秋夜。

そーいや、この前言ってた気がする。
「だからってなんで蓮斗の席に座ってんだ?」
俺が疑問をぶつけると、秋夜はクラスの女子に、聞きに行く。

甘ったるい声で女に言うもんだから、真っ赤になりながら秋夜に説明しやがる。
「秋夜、お前朝からそのままナンパしてんじゃねぇ。」
「この子折れてくれないんだもん、彼氏が居るんだってー、ピュアだねぇ…」
「フツーはそーゆーもんなんだよ、俺は今日も可愛い女子高に行って女の子にぎゃくナンされてこなきゃなぁ。」