「やめてください・・・っ!」

嫌がってる女の子を無理やり連れてこうとしてる金髪と茶髪の二人組。

俺はバイクを止めて、「何してんの?」と声を掛けた。

「ああ?何だてめぇ。邪魔すんなよ」

俺と同じ金髪が強気に言い放つ。

「嫌がってんじゃん」

セーラー服を着た女子高生は、「助けて」って目をしてる。

「てめぇ調子乗ってんじゃねーぞ」

そう言いながら殴りかかってきた手をよけて、

腹を一発殴った。

「・・・!!」

まさかよけられるなんて思ってなかったし、

殴られるとも思ってなかったであろう金髪は、

悔しそうな表情を浮かべながら腹を押さえた。

「だから、離してあげろよ」

茶髪の方は、何も言わずただ俺を見つめる。

さっきの一発が効いたのか、

よろよろとよろけながら精一杯俺を睨みつけた。

「お前何なんだよ!顔覚えてやるからキャップ外せよ!」

まだ上から目線なんだな、こいつは。

「おっと、それは光栄だな」

俺は素直にキャップを外した。

「俺の顔、わかんの?」

俺の顔を見て、茶髪は小さな悲鳴を上げた。

「も・・・もしかして・・・広川、蓮・・・」

「広川蓮!?あの・・・広川蓮・・・」

あの、ってどの広川 蓮だよ。

「正解!その広川 蓮」

ちょっと笑いながら言ったその言葉に二人は大きく目を開いた。

俺ってどんな風に広まってんだよ・・・。