第一章 一節 ――笑ワヌ王子――
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 面白くない。
 つまらないことばかりが起こる毎日。

 いつしか俺は笑わないようになっていた。

 暇さえあれば悪人を処刑台へと送り
 人々に感謝の言葉をもらう。

 何か楽しめることはないものか。

 ☆ノウス ~シルファソン城内「大広間」にて~

 召使達が横一列になって並ぶ中、俺は一人、大広間の真ん中で優雅に紅茶を飲んでいた。
 しかし、一口だけ口にすると短く「ハァ」とため息をついて、机にカップを置いた。
 暇で、暇で、仕方がないのだ。
 毎日同じことばかり繰り返す…
「おい」
 俺は小さく召使を呼び出した。
「はい、何でしょうか、ノウス王子様」
 そう、俺はこの国、シルファソン国の王子、ノウス=アルフォンヌスだ。
「やはり紅茶ではなく、コーヒーを入れろ。」
「かしこまりました。では、こちらのお紅茶はお下げさせていただきます。」
 召使は俺に一礼してから紅茶を持って大広間から出て行った。