愛する人。




 呼び声に振り向くと



「……お母さん…」



 裕太のお母さんが、泣きそうな笑顔で私を呼び止めた。







 ―――どうして?





『……裕太の心臓が脆くなってて、いつ出血してもおかしくないの。
 手術も、今の裕太の心臓だと動きが弱くて……耐えられないだろうって言われて…。

 心臓が止まるのを、待つだけだって』




 ―――嘘よ




『優ちゃん……

 覚悟をして』




 ――そんな事 信じない…っ!