愛する人。








 秋も終わり冬が近づき始める11月、外はもう冬の空。



「……さて、行きますか」



 会社を出て病院へ。通い慣れた帰り道。

 病院へは電車で40分、家は病院から自転車で5分。その分会社からは遠くなったけど、彼にすぐ会えるこの距離が気に入ってる。



 20時過ぎ。

 本当は面会時間終了の時間。でも私は彼の病室に向かう。



「新しいおにぎり美味しいといいなぁ」


 夕飯は彼の病室で。ご飯を食べる時間でさえも、もどかしい。



「あら、篠田さん。
 金子さんなら今先生とお話中よ」


 顔なじみの看護婦さんが教えてくれた。


 ……なんだろ。こんな時間に。