愛する人。





 実家の母からの電話。

 何の用なのか……なんとなく、分かる。



『……そうだったの。じゃあ、手短にね。

 ねぇ、あなた、今週末お見合いしてみない?』



 いつもの言葉。



「悪いけど急いでるから。
 今週末も、この先も時間を作る気はないから!

 ……用件終わったなら切るわ」

ピッ






 ……はぁ。



 母は彼が入院してもう治らない病気だと知った時、別れなさいと言った。

 私の事を考えての一言だろうけど、私は反発し、病院のそばにアパートを借りて一人暮らしをした。


 全ては、彼と一緒にいるため。