愛する人。





 彼は私の気持ちが分かったのか、頭をポンポンと叩いていつもの儚げな笑みをする。そして、いつもの銀縁メガネをつけた。


 私はその顔を見る度に胸がキュッと痛んで、泣きそうになる。



 ―――そんな風に笑わないで。





カラカラカラッ


「おはようござ……あら篠田さん、また眠っちゃったの?」

「おはようございます、婦長さん」

「おはよう、ございます……」



 ……婦長さん、怒ってる……。