愛する人。





 大きなベットで蓮くんに彼の……裕太と私の昔語りを話す。


 遠い昔のおとぎ話のような話を。
 蓮くんは黙って私を抱き締めながら話を聞いてくれた。



「ふふっ キスを、ね。する時に必ず眼鏡を外すの。その姿に毎回ドキドキしてたなぁ。

 ……初めて彼と一つになれた時涙が止まらなかった。
 嬉しくて泣いたの。


 もう、彼との幸せな未来しか見えなかった……」



 そう。それでも良かった。

 彼しか見えない私は幸せだったから。


 神さまが居るとしたら、彼は愛されたのね。神さまに。



 ……だから神さまは彼を連れていったのよ。





 永遠に私の手の届かない場所へ。