私を掴んでいた手が、

 離れていく。



 代わりに、

 私を抱きしめる。





「―――あなたが欲しい。

 ずっと……あなただけを想ってた」




「あなたに好きな人が居ることは知ってる。


 それでも……

 あなたが、欲しい……」







 彼の左手が腰に。


 右手が、

 私の後頭部を掴んだ。



 彼の顔が私に近づく。




 私はゆっくりと瞳を閉じた。