私の腕を掴み見つめたままそんな事を言う彼に……『男』を初めて感じた。 振りほどこうとしても振りほどけない。 彼が。 表情のない彼が、怖い。 雷が遠くで聞こえる。 雨はまだ降り続いてる。 電気も……止まったまま。 掴まれた腕が痛い。 ソファーの上。 二人向き合ったまま、目を逸らさない。 「……蓮くん…お願い、離して…」 私は怖くて、目をそらして言った。 .