愛する人。





「そう……」



 そう呟いた彼はすぐに窓に向いてしまったから。

 ……泣きそうな顔をしてたなんて、知らなかったの。





「トイレ行ってくる」



 空気を変えるように、明るくリビングを後にした。







 この『キモチ』は何?


 私はまだ、気付かないまま……。









 トイレから出てリビングまでの廊下を歩いてると、




バリバリバリッ


「何?!」



 ものすごい轟音と共に、部屋中真っ暗になった。