「……おいっ」

グイッ
「っひやぁ!」



 突然掴まれた左腕。

 そのまま腕を上に持ち上げられ、慌てて振り向くと。


 そこには、メガネを掛けて眉間にしわを寄せてる男がいた。




「……あんた…」


 何か言いかけたのを口に手を当て、顔を横に向ける。




 ……知り合い?

 私は知らないよ、ね?



 私が頭の中で必死に記憶をたぐり寄せてる時に、ふと左腕に違和感。


 視線を左下に移すと、彼の手が私の腕を掴んだまま、


「あっ!すま…すみませんっ」


 気付いたのか、慌てて手を離した。