愛する人。





 彼はいつもの落ち着きある微笑みで、


「抱きしめ忘れました」


 と笑った。



 私もつられて笑ったら、


グッ

「!」


 ……結局、彼の腕の中。




「……泣きやみましたか?」



 彼の掠れた声が落ちる。



「うん。……ありがとう」