愛する人。






「蓮くん、あの……」


 言いかけた私の言葉を遮るように、左手で私の頬に触れる



 え…?


 表情が、分からない。


 蓮くんを見つめてると、口が動いた。



「……ど…して…?」


 ……え?

 呟くように、か細く蓮くんから聞こえてきた。



「どうして……泣いてるんだ…?」


「……!?」




 私……


 自分の右手で右の頬をなぞると……濡れていた。



 私の手に、蓮くんの手が重なった。