愛する人。





「送っていきます」

「いや、大丈夫よ」



 笑顔で断ると蓮くんが、


「ダメ。いつもより遅いし、何かあったら僕は後悔する」



 ……なんて。大げさだなぁ。



「大げさなんかじゃないですから」


 ニッコリと。でも目は笑ってない。



 読心術でもあるのか……。


 もう何も言わなくなった私を無視して、彼はパーカーを羽織り車のキーを持って家を出た。