私達が車に乗り込み発車させると、見えなくなるまで女将さんは手を振ってくれていた。




「ばぁちゃ、バイバイ?」



 小さくなる女将さんを見て、緋桜が寂しそうに呟いた。




「そうよ。 ……バイバイね」



 私達の様子を見た蓮くんは、


「夏と冬は毎年会いに行こう。

 女将さんは緋桜のおばあちゃんだからな」



 蓮くんの言葉に、さっきまでしょんぼりしていた緋桜が手を叩いて喜ぶ。



「ありがとう」


 私が笑顔で彼にお礼を言うと、彼は前を見たまま笑った。