愛する人。





『………なら、産んであげなさいよ。赤ちゃん。

 そして、沢山愛してあげなさい。彼の面影ある子を。

 その子はきっと、あなたの宝物になる』



 そう言って、私と赤ちゃんを救ってくれた。








「マーマー?」


 呼び声に、フッと我に返った。



「なぁに?」


 緋桜が私のスカートを掴んで目をクリクリさせて私を見上げる。



「どうしたの?」

「パパ!」