「本当に良かったわ」




 女将さんが涙を浮かべて喜んでくれる。



「……女将さんのおかげです。
 本当にありがとうございました」



 深々と頭を下げる私を、女将さんは優しく抱き締めてくれた。




「幸せになりなさい。

 あなたが幸せじゃないと、緋桜くんは幸せになれないわ」


「はい」



 女将さんの言葉が心に響く。




 あの時女将さんがいなかったら、緋桜は産まれなかったかもしれない。