「緋色の緋に、桜で、緋桜。

 二人で見た、あの桜よ」


「――――っ

 そんな……どう、して……どうして…」



 私の言葉に、彼は涙を浮かべた。




「……伝えてはいけないと思った。あなたを、……苦しめるだけだから」




「………緋桜…」



 声に出した瞬間に、蓮くんの瞳から涙が零れ落ちる。




「緋桜。……俺の、息子」



 言って、私と緋桜を抱き締めた。