愛する人。





 パッと振り向くと、リビング扉が少し開いていて、和音ちゃんの顔の下に小さい顔が2、3動いている。



 私と目が合うと、気まずそうに、


「あ……なんか、様子がおかしいなぁ…なんて思って覗いたんだけど…。

 ベ、別に覗き見ではなくて、ね?」


 手振り身振りで説明している彼女の頬は、真っ赤だ。



「あっ こら!」

「マーマー!」



 ドアの隙間から緋桜がこちらに向かってきた。



「ママ…?」


 私がしゃがんで緋桜に手を広げると、頭上で蓮くんが、呟いた。




 ………あ…………