愛する人。





「なんで…っ ダメだよ!」



 ダメなのは私。


 泣きそうになるなんて……絶対ダメ。




 零れ落ちそうな涙を必死に堪える。



 俯く私の頭上から、


「あなたがいなくなったこの三年間、俺は、生きてなかった。

 ただ、起きて仕事して寝て……それの繰り返し。

 あなたを初めて見つけたあの坂の桜とか、一緒に出かけた時の景色とか……あんな感動なんてなくて……世界が色を失ったんだ」




 涙が、ピタリと止まった。