愛する人。





「私が出るわ」



 立ち上がると「お願いします」と言って、和音ちゃんはみんなの様子をみた。


 子供が四人もいると、とてもじゃないけど一人じゃ見きれないから慌てていたのか、今日に限ってインターホンは使わず、玄関に直接向かった。




「はい」

カチャ…







 ――――どうやっても逃げられないのなら。



 どうやっても、捕まるのなら。



 あの身を引き裂かれるほどの別れは……何のためだったの?






 ―――神様は意地悪だ。