愛する人。





 緋桜が産まれて旅館での仕事を再開する時に、女将さんが言ってくれた。



『私の娘が中学生なんだけど、将来保母さん目指しててね。

 この辺は保育園が終わる時間が早くて、うちの従業員達の勤務時間にも響いちゃうのよ。
 だから小学生までの子供は、うちの娘と母が預かったりしてるの。

 小さな赤ちゃんを預けるのは不安かもしれないけど、保育園が終わったら仕事終わるまでの2、3時間、うちで面倒みさせたらどう?

 家だったら歩いてすぐだし、おばあちゃんもいる。中学生一人でみてるわけじゃないから、安心よ?』




 正直、有り難いお話だった。



 でも………。




『……いいんですか?私なんかの子供を…』