愛する人。





 駆け足でリビングの扉に向かう。



「お帰りなさい、優子さん」

「ただいま! 遅くなってごめんね?」



 リビングに入ると、和音ちゃんがキッチンから顔を出した。



「全然大丈夫だよ〜。
 緋桜くんもいい子にしてたし」


 高校の制服姿にピンクのエプロン姿で出迎えてくれたこの子は、女将さんの娘さん。

 私は仕事が終わると女将さんのお宅にお邪魔して、ご飯を和音ちゃんと一緒に食べるのが日課になっている。




「緋桜く〜ん!ママ帰ってきたよぉ!」



 和音ちゃんが呼びかけると、隣の和室からガチャガチャ音がしたと思ったら、ふすまが勢いよく開いた。