「周りの反対を押し切ってここの女将さんが私を雇ってくれて。そのおかげで、遠巻きに私達を見てた人達が、徐々に良くしてくれるようになったの。
本当に、有り難い……」
最後は独り言のように呟いた彼女に、俺もあの女将さんに感謝の気持ちが芽生えた。
俺がいない間、彼女を支えてくれたのは、あの人だったんだ。
見た感じは、おっとりした、柔らかなイメージの女性。
なのに、自分の従業員を守るためなら客の俺にさえハッキリ断りの言葉を告げる。
あの人が、彼女を救ってくれたんだ。
そんな女将さんに、感謝しか浮かばなかった。
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