愛する人。





 テーブルを挟んで向かいに座り、俺の分と自分の分のお茶を置く彼女の姿を、ずっと見ていた。



「……見過ぎ」


 俯いたまま、小さく呟く。




「……ずっと見ていたいよ。

 この三年分のあなたの姿を取り戻せるまで」



 俺の言葉に、彼女はゆっくり顔を上げた。



「もうあの時とは違うのよ?
 三年の月日は三十越えた女には酷よ。

 あの時のままの、私を覚えていて欲しかったのに…」



 そう言って困ったように微笑んだ彼女に、胸が熱くなった。