愛する人。





 何度、夢見ただろう。


 彼女の姿を、何度探しただろう。




 ………忘れるなんて初めから無理だったのに。



 俺は本当に学習しない。






「れ、ん…」



 震える唇から零れるのは、俺の名前。



「………どうして…」



 大粒の涙が彼女の頬を濡らして、月に照らされキラキラ光る。


 俺は、そんな彼女を静かに見つめていた。