「……副社長!」
昔からの海斗の片腕、川崎に呼ばれると、「悪い。ちょっと行ってくる」と言って、そのまま彼女の額に軽くキスをして去った。
……恥ずかしい奴。
優子さんとのやりとりで全く同じ事を思われていたなんて知らない俺は、呆れながらあいつを見送った。
俺の片腕として頑張ってくれていた海斗を、二年前に副社長に任命した。
それと同時に、川崎は秘書課の部長に昇進。
木崎さんは先月をもって、寿退社した。
海斗が副社長になったおかげで、今まで俺に負担がかかっていた仕事は、半分とはいかなくてもそれに近いくらい減り、正直、海斗のおかげで今の俺があると断言できる。
……本人には絶対言わないけどな。
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