私達の終わりの時間は近づいてる。



 二人、見えない何かに捕まらないように……囚われないように。


 静かにその時を待っていた。





「優子さん、これはもう入れて良いですか?」

「うん。入れちゃって」


 二人でキッチンに立って、夕飯を作る。

 当たり前のようにしてきた事が、実はそうじゃなかったんだと心から思う。



 ふざけて二人笑い合うこの時間。


 何て愛しくて……切ない時間なんだろう。




「玉ねぎそんなにしみますか?」


 柔らかく笑う彼。

 ……きっと、分かってる。



「……そうなの。
 目にしみて痛いわ」



 私の言葉に、彼は眉を下げた笑顔。


 私は涙を止めることなく玉ねぎを調理していく。





 貴方の記憶の中の私は、いつでも笑顔でいられますように……。