愛する人。





「なっ」

「優子さんがいけないんですよ? 可愛らしい事をいうから。

 さあ、行きましょう」


 彼女が何か言おうとしたのを遮って、手を引いて歩き始めたら、小さく「信じらんない」と呟き俺の少し後ろを歩く彼女。



 ……本当は抱き締めて、思い切り唇を合わせたかったけど……これでも我慢したんだ。

 ――額で。

 ……と、心の中で呟きながら車へ向かう。







 アナタを愛しすぎて。



 溢れ出る想いを

 止めることが難しくて……。



 手を触れると

 その全てに触れたくなる。




 別れはもう、すぐそこだというのに……