愛する人。





「俺は優子さんの子供なら、絶対溺愛する自信あるし。
 休みの日には、子供を膝に座らせて、離さないかもしれない。

 そうなったら……

 あなたは、寂しくなるでしょう?」




 さっきの表情から一変。

 柔らかい笑みで私を見る彼に、心臓が痛くなった。




「さぁ、そろそろ進みませんか?」



 私の心情なんて気付きもせずに、手を差し出してきた。

 入り口からずっと動いてなかった私達。



 ソッと彼の手を握ると、ゆっくり歩き始めた。