愛する人。





「……その眼鏡も。

 たいして目悪くもない癖に帰りには付けるし。
 ……まぁ会社の女の子達は眼鏡姿も素敵☆なんて言ってるけどな。

 言葉づかいまで『僕』って…!ハハハッ」


 言いたいことを言って笑いながら海斗は隣の部屋、秘書室へ戻っていく。


 ……と、思ったら振り返り、


「お前がどんなに頑張っても、あの人の『代わり』は出来ない。

 早く気づけよ」






 そんな事


 ……言われなくても分かってる。







 それでも、気持ちが軽い。


 毎日の生活の中で彼女が居るのと居ないのではこうも違うのか。