愛する人。





「大丈夫ですか!

 君っ すぐ車の用意を……ああっいい!俺が行く!」


 あまりの慌てように、私も彼女も声が出ない。




「―――蓮!

 火傷したのは優子さんじゃない。……木崎さん、だよね?」



 声の方を見ると、海斗くんが呆れた顔でこちらを見て、また、彼女を見た。



「そう、です」


 俯いて小さく答えた彼女に、海斗くんが近寄り


「医務室連れて行くよ」


 そのまま彼女の手を引いて行ってしまった。



 私がそっと蓮くんを見ると、私の手を掴んだまま、海斗くんの後ろ姿を見つめている。