愛する人。





「すみません、冷凍庫開けますっ」


 彼女の返事は無かったけど、気にせず冷凍庫を開けて氷を取り出した。



「――いっ」


 氷を当てると痛みが走ったのか、少し眉間にしわが寄ったけど、彼女はしばらくすると小さく細い声で、「ありがとうございます……」と呟いた。



「……すみません。荒療治になりました」



 余裕が無かったとは言え、失礼だったかな……。





「……優子さん…?そこで何を…」


 会議を終えたらしい蓮くんが私を見つけた。



「あ…火傷しちゃって」

「――火傷…?! どうしてっ」


 慌てて私の元へ来て、バッと、私の手を掴んだ。