愛する人。





「あ、のっ 手火傷してますよね?!」

「……大丈夫です」



 どう考えても火傷にしか見えないのに、こちらを見る事無く彼女は片付けを止めない。

 よほど私は嫌われてるよう。


 ――でも。


「馬鹿なこと言わないで下さい!」



 私は火傷していない方の手首を掴んで、そのまま彼女を連れて社長室を出た。



「ちょ…っ 放して下さい!」


 私は彼女の慌てた声を無視して、給湯室に着くとそのまま水道の蛇口から思い切り水を出して、彼女の手をそこに当てた。