愛する人。






「――これとこれ、5分で読んで」



 エレベーターに3人乗り込みドアが閉まった途端、海斗くんが蓮くんに分厚い書類を手渡した。

 ――あんな厚さ読み終わるわけ無いよね…?

 なのに、受け取りながら『分かった』と言うとペラペラページをめくり始める彼。

 私は目を丸くして彼を見る。



チン…


「10分後に迎えに行く」


 そう言ってエレベーターを下りて、急ぎ足で先に歩いて行ってしまった海斗くん。
 私と蓮くんはエレベーターを下りて、普通の速度で社長室に向かう。

 蓮くんは書類に目を通しながら。