私は毎回彼の声色にビクビクしながら小さくなる。 私の手を掴んだまま受付の前を通り過ぎる彼。 私は引きずられる様に歩いていくと、必ず、彼女達から冷たい視線を受けるのだ。 『――なんなの、あの女』と。 通り過ぎる一瞬でも判るほどの、表情で。 「社長! ――と、……優子さん…?」 エレベーターに向かうと、ちょうど下りてきた海斗くんに会った。 「…え? あぁ、…」 困った顔の私と蓮くんを交互に見た彼は、瞬時に理解したのか、苦笑いで私に「すみません」と謝ってきた。 .