愛する人。





「それはっ ……さすがに気が引けるって言うか」


 頭をブンブン振って丁寧にお断りしたけど……、



「ははっ 時間が無いんです。何でしたら着替え、手伝いましょうか?」


 笑顔で私の服に手を入れ始めた。



「――っ 分かった!分かったから!
 着替えるっ ちゃんと用意するから出てって!」


 私が顔を真っ赤にして叫ぶと、クスクス笑いながら「待ってますよ」と自分のスーツとYシャツを持って部屋を出ていった。



 ……絶っ対に、確信犯だわ。


 グッタリしながら手にある服を、もう一度見た。