愛する人。




 彼を受け入れようと、その首に腕を伸ばした瞬間。


「――っん……ぁぁああっ」



 スープの鍋が吹き零れた。







「くっくっくっ…」

「―――しつこい!」



 少し遅めの朝食を終えて後片付けをしている私の横で、蓮はまだ笑ってる。



「あははっ だって優子さんのあの慌てた姿!
 可愛かった―!」



 キッチンで洗い物をしてる横で体をくの字にして笑う彼。私はもう、完全無視を決め込む事にした。