愛する人。




「おはよう」

「……おはよう」


 私がスープを温めてると、蓮くんがリビングの扉を開けた。



「すぐ出来上がるから待ってて?」


 蓮くんに声をかけるけど……返事が、ない。



「………?」


 少し気になり振り向いたら


「きゃっ……!
 れっ蓮くんっ!」


 私のすぐ後ろにいた彼がいきなり抱き締めてきた。



「ちょっとっ 火使ってるから危ない!」


 体をよじって抜け出たいけど、彼の腕の力がそうさせてくれない。



「―――黙って」


 ワザと私の耳元で囁く彼。

 私は一瞬で黙ってしまった。