はらはらはら……桜が散る

 茜色に染まった空の下、桜の花びらが舞う


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 ダイニングからはベランダにある小ぶりの桜を見ることが出来る。

 桜を見ながら料理をするなんて……贅沢。




 ―――ふと想い出すのは

 私の部屋から見える桜の木。


 毎年咲くと窓を開けて花びらが舞うのを見てた。

 私と……アナタと。




 リビングの窓を開ける。

 少し風が強く入り、一緒に花びらも入り込む。

 私は気にせず舞い落ちる花びらを見つめてた。


 ……違う。

 私は何も見えてない。



 今この目には、何も映してない。






「――優子さん!」