「いただきます」

「いただきます」



 さぁ食べようと、箸を持つ手が一瞬止まった。

 テーブルにはいつもより多い品数が並んでいる。



「ははっ 何だかご馳走だね。何か良いことあった?」


「う…っ ごめん。ただ時間あったから作り過ぎただけで……」

「ふーん…。じゃあ、今日仕事上がるの早かったんだ?」

「そうなの。珍しく定時に上がれて……」



 いつもと同じように、お互いの言葉が流れていく。



 ……そんなのは、まやかしに過ぎないのに…。


 俺は、先延ばしにしてるだけ。