愛する人。





 ……大丈夫。

 まだ大丈夫だから。



 目を閉じ深呼吸をすると、スープを温めにキッチンに向かった。







「いただきます」

「いただきます」


 いつものように向かい合って食事を始める。

 彼はテーブルに並べられた料理を見ると、何故か笑い始めた。



「ふっ 何だかご馳走だね。

 何か良いことあった?」


「う…っ ごめん…。時間あったから作り過ぎちゃって……」

「ふーん…じゃあ、今日仕事上がるの早かったんだ?」

「そうなの。珍しく定時に上がれて」




 ……心臓に悪いわ。


 浮気を誤魔化してるみたいで、生きた心地がしない。