愛する人。





 解放してあげなくちゃね。

 私なんかに縛られてちゃダメだから。




 ―――泣いたらダメ。

 こんな事くらいで泣くなんて……




『一人で、泣かないで……』




「――っ れ……ん…っ

 ――蓮…!」


 玄関に入った瞬間、崩れ落ち、床に水溜まりが広がる。





 一人で居る事に慣れてた。


 声も出さずに泣く事にも、慣れてたはず。



 ……なのに。



 今はこんなにも、

 アナタの温もりが欲しい―――…