愛する人。





「れ…「優子さんが居ないから」


 私の呼び掛けを遮るように、震える声で話し始める。



「起きたら優子さんが居なくて……どこかに行ってしまったと……思って…」


 だんだん小さくなる声に、私は、“心配いらないよ”と安心させたくて。

 蓮くんの背中に手を回した。


 ピクリとしたけど、すぐに力強く抱き締め返す彼。




 ……私、裸だわ……。



「あ、の…っ
 シャワー浴びたいから、出て、貰えませんか…っ?」


 絶対にからかわれると思いながら、彼の胸に手を入れ押し放す。

 意地悪い顔を想像しながら彼の顔を見上げたけど――…