愛する人。





キュッキュッ… シャ―――…



「……ふぅ…」



 あれから何時間経っただろう。

 蓮くんはベッドで穏やかな寝顔を見せてた。



「……蓮くんのお母さんに、聞きに行かなきゃ…」



 帰りに連絡先の書かれた名刺を貰った。


 名刺には、『外科医 九条 美也子』と書かれてた。


 病院名は、よく知ってる名前。





 なぜ……?


 偶然にしては出来過ぎてるよね?




 ……今もあのイチョウの木はあるのかな?


 あの病室から見えた、紅葉の美しさ。



 記憶が、甦ってくるよう――…