「ここで待ってろ」



 それだけ伝えると、行きにもいた人影目指して歩き始める。




 行きに見つけてから数時間。
 今も同じ場所で佇んでる女性は、変わらず海を眺めていた。





 ――無視しても良かったんだ。


 こんな人気のない海で女が一人でいるなんて……どう考えてもおかしいし。


 ただ、少し興味が湧いたのも事実で…。


 こんな場所で一人海を見る心境が。





 遠目で見て様子がおかしかったら一応声をかけよう。


 ――そんな安易な考えで近づいた。