愛する人。





「まだ少し食事の時間より早いから、ゆっくりしてましょう?」



 お母さんが優しく笑いかけてくれて……やっと肩の力が抜けた私は、小さく返事をして、蓮くんの隣に腰をかけた。





「今日はお招きありがとうございます。

 篠田 優子と申します」



 ソファーに座ったままでは失礼かもしれないけど、畏まりすぎるのも良くないかと、ゆっくり頭を下げて自己紹介をした。





「……篠田、優子、さん」



 お母さんは繰り返しながら、少し驚いた顔になった。




 ……けど。すぐ普通の顔に戻り、


「……そう。
 息子がいつもお世話になってます」


 チラリと蓮くんを見た後、私に向き直り、ニッコリ微笑んだ。